特別対談 CABANE de ZUCCa presents ファッションデザイナー 小野塚秋良 × コーヒー焙煎士 松澤岳久 腕につけるコーヒー、旅に出るコーヒー

東京・合羽橋道具屋街にある小野塚さんお気に入りのカフェ、Sensing Touch of Earth。
このカフェのコーヒーを監修・長野県信濃町で焙煎しているコーヒー焙煎士の松澤岳久さんは
カバンドズッカウォッチの「COFFEE BEANS」を愛用、
仕事をする時お守りのようにいつも腕にしています。
小野塚さんデザインの腕時計が好きな松澤さんと
松澤さんが焙煎したコーヒーが好きな小野塚さんの対談です。
←小野塚さん
←松澤さん
コーヒーの専門家から見てその時計(COFFEE BEANS)はどう?
とにかくもうずっとつけてますよ仕事中もオフもずっと。
好きなもの(コーヒー豆)を身につけているからただただ嬉しいというか、
大袈裟じゃなくて、朝出かける時つけると気持ちがふわっと上がる感覚があります(笑)。
コーヒーポット持つその太い腕にも似合うねぇ。
腕にコーヒー畑のタトゥとか入れてよ、もっと時計がかっこよく見えるから(笑)。
僕は若い頃から腕時計というものを普段ほとんどしてこなかったんですが
高校生の時に初めて自分で買った腕時計があるんです。
それがカバンドズッカウォッチの「チューイングガム」だったんです。
それも蛍光ピンクのやつ。
僕の一番最初に作った腕時計シリーズだよ。
5色あった中からあの蛍光ピンクを選んだの?センスがイイよ!!(笑)
最初に作った時計だったんで工場にかなりガンバってもらって
すごく発色のいいこだわりのピンク色を作ってもらったから。
確か『OLIVE』だったかなぁ、雑誌で発見して
あんなにシンプルで、あんな色の時計が世の中にあるなんて驚いて
それに腕時計にしては安価だったのもあって
見た途端にコレ絶対に欲しいと思って地元のデパートで買いました。
あっ、そういえばこの間僕の店で、同じあの蛍光ピンクしてるお客さん見ましたよ。
コーヒー受け取った手を見て、あっ懐かしい同じのだって。
え、20年前だよ、物持ちがいいねぇ!
大事に使ってもらっているとすごく嬉しい。

僕は当時、腕時計ってものにはあまり興味なくて
だから腕時計をデザインする依頼が来た時に正直ちょっと戸惑った。
若い頃に仕事で海外のホテルに行くとフロントで必ずチェックされるのが腕時計。
なにか自分が創る方向のモノじゃないっていう感覚がどこかにあった。
でもね、こう思ったの、
富や地位の象徴やバロメーターじゃなくて
例えばそうミサンガみたいに、毎日それをつけると嬉しいとか、
気持ちがちょっと高揚するような、緊張してる時は安心できるような
人に見せたり比べたりじゃない、個人的な自分に作用するような腕時計なら作ってみたいって。
ほら野球選手が試合中にガム噛んで気持ちを落ち着かせたり集中させたりするでしょ、
そんな感じいいなぁと思って
それで最初の時計をチューイングガムにしたの。
それと業界のオキテに逆らうかもしれないけど
「時計は時間を見るもの」ってことを一番に考えないことにして(笑)
腕時計からいったん肩の力抜いてみようって。
ただ単に、これを腕につけて出かけたいっていう「時計的なモノ」を創ろうと。
あれは脱力した腕時計だったんですね、
だからあの頃の僕が雑誌で見て瞬間的に欲しいと感じちゃったんですね!
細い時計なんだけどチューイングガムっていう名前があるから女性だけじゃなく
次のLe Chocolatもそうだけど、ユニセックスなお菓子だから男性もみんな抵抗なく付けてくれたの。
この間、高校野球見てたらあの甲子園球場は満員だと45,000人入るらしいけど
あのチューイングガムシリーズは60,000本売れたの
みんな自分のための肩肘はらない腕時計、求めてたのかもね。
(2006年発売の時計デザインブック B WATCH BE WITCHを見ながら)
いろんなテーマの時計がありますね!
動物・植物・食べ物・自然・道具・音楽・宇宙・都市・インテリア・スポーツ・医療器具・出来事・遊び・スイーツをモチーフにしたもの、多いですね
ガム・チョコレート・キャンディ、
パッケージもそれぞれで面白いですねぇ
このキャラメルのボックスは特にすごく気に入ってるの。
でっかいキャラメルの中に小さくてコロッとしたキャラメルが入ってる。
キャラメルシリーズは今も継続して販売していて
普段着にもドレスアップにも合うから色違いで持ってる人が多いんですよ。
羊羹?みたいなのもあったんですね!
箱がカットされた羊羹一口分になってる。
このスイートコーンの箱、なんですかこれ、ダイナミックに開くんですですねぇ!
トウモロコシの皮を剥いていくと時計が顔を出す。
これプレゼントしたら貰った人もあげた人も嬉しいじゃない!?
このガムの箱の塊、おかしいです!
僕の腕時計のモチーフは食べ物でも必需品じゃないの。
必ずしも食べなくても大丈夫なもの
でもコミュニケーションが生まれるような食べ物
会話の元になるようなたわいもないもの。
軽い朝の挨拶のようにすごく気軽につけて欲しいの。

松沢さんはなんでコーヒー焙煎士になったの?
もともとコーヒーに興味があったの?
小学生の時、授業で先生から将来の夢を聞かれたんです、
何になりたいか、何の職業に就きたいかみたいなことです。
周りの男子はサッカー選手とかパイロットとか医者とか...
僕は特に何にもなりたいものがなかったんで
とりあえず「事務員」と答えた。  
そしたら事務員は一般的な職業だけど子供の夢としては一般的な回答じゃないと。
現実的な回答は成人してからは褒められるのに!(笑)
別のものを考えろと皆に言われて。
でも成人してからも特にこれに絶対なりたいなんてものはなく…
精密電気機器の技術の会社に就職していたんですが
あることから京都のコーヒー豆の焙煎士の方に出会って実際に焙煎を体験したんです。
その瞬間、これだって。
コーヒー豆の焼かれた香りが体全体を包むようにブワッと押し寄せて!
初めて自分が好きだって、人にも自分にも言えること(夢)発見したんです、その時。
たった一回の焙煎体験からこんなコーヒー三昧の日々になるなんて人生面白いねぇ。
コーヒーって果物なので、その焼き加減によって全く違うものになるんです。
焙煎であまり焦がさないとフルーツのニュアンスがたくさん残って
焼き色をつけると苦味が出て深いコーヒーになる。
いわゆる浅煎り深煎りというやつ??
その前の工程で生の豆から水分を抜かないと渋みが残って美味しい飲みものにはならない
水抜きして焼き加減を調整する大切な工程があります。

この水抜きと火入れの工程の組み合わせは人によってそれぞれ違って
どれが一番美味しい、正解というものはない。
僕は元来理数系の人間なので回答を割り出す作業が好きで
だから自分にとっての自分だけの正解となる工程を日々求めている、
それが楽しくて楽しくて。(笑)
データは記録するんですけど、季節によってもその日の天候によっても
豆の仕上がり状態は変わるので
結果、毎日自分が肌で感じ、耳と鼻で豆の音と香りに集中して。

コーヒー=苦いって概念を変えたいんです。
コーヒーって普及の初期段階ではカフェインで目をさますもの、
徹夜の友とか食後の一服や気分転換とかがみんなが飲みようになった要因だったんでしょうけど
世界的にもっと存在価値が進化してきた。
コーヒーという僕の大好きな植物をいろんな形で大勢の人に楽しんでほしいんです

飲む場所・飲む時間が少し変わっただけでも味わいは変わる
時には豆を持って遠出することもあるんですよ。
実は、日の出とともにコーヒーを楽しむっていうイベントをやっていて
「ソト・コーヒー」っていうんですが
ある日は野尻湖の湖畔に朝5:30に集まって
豆を挽いてハンドドリップでスペシャルティコーヒー淹れて
みんなで飲むんです、日の出を眺めながら
んー、それは最高だろうね。
都内からも皆さん集まってきて、
自然の朝の空気とコーヒーの香りの融合を楽しんでもらってます。
長野で生まれずっと暮らしてきたんですけど
若い頃って地元の良さって気付かなかったんです、外(都会)ばかりよく見えて。
最近になって僕が住んでいるここには
景色が素敵な場所がとても多いことに日に日に気づいて
長野の良さをもっと気づいてもらいたいと思うようになったんです
特にもっと地元の人に。

だから僕の大好きなコーヒーと一緒に長野の良さを味わう今の活動を続けていきたい
自分の地元にも美味しいコーヒー楽しく飲める所があった、よかったって
みんなに思ってもらいたい。
コーヒーの香りはほんとにイイよね。
コーヒーが特別なポジションを持つようになる予感は感じていたね。
ファッションデザインに携わる人間はそういう予感をどの段階で気づいて
どのタイミングで発信するかが全てだと思うよ。
早すぎのバカ、遅すぎのマヌケって業界でよく言われるんだけど(笑)
データから読み取るんじゃなくて肌で時代を感じて、溜め込んで、フーッとはき出す。
小野塚さんのデザインされる腕時計も
まさに時代やカルチャーを肌で感じて発信してらっしゃる感じですね。
題材がそれぞれカッコよく
粒だってる感じですもん。
そう、その一粒一粒が大切!
コーヒーだってまさにそうでしょ!?
さすがです!
もう一杯、美味しいコーヒー淹れます!!(笑)
Profile
小野塚 秋良

Akira Onozuka

服飾デザイナー。1950年・新潟県生まれ。杉野ドレスメーカー学院を卒業後、1974年に三宅デザイン事務所に入社。NTT、資生堂、西武百貨店などのユニフォームをデザイン。1986年、イッセイ・ミヤケ・オン・リミッツよりメンズブランド「オッズ・オン」を発表。1989年にレディスブランド「ZUCCa」を発表(2011年春夏コレクションを最後に退任)。同時期からパリコレクションに参加。1992年、セブンユニフォームとの提携によるユニフォームブランド「HAKUÏ」を発表。1996年よりセイコーウオッチとコラボレートし「CABANE de ZUCCa」のリストウォッチシリーズの発売をスタート。

松澤 岳久

Takehisa Matsuzawa

コーヒー焙煎士・Foret coffeeオーナー。1977年・長野県信濃町生まれ。2013年、マイクロロースターでコーヒー焙煎をスタート。2015年、焙煎家オオヤミノル氏からLucky社 8kgの焙煎機を譲り受ける。2015年、長野市4DstudioNAGANOでカフェForet coffee運営スタート。2017年Sensing Touch of Earth コーヒー・プロデュース。

Sensing Touch of Earth

<Filming Location>
Sensing Touch of Earth

東京都台東区松が谷3-1-12 03-4400-7678 10:30~19:00 日曜営業